「メルどうしたの、可愛くなっちゃって」
「いいでしょ」
一通り町を見回った僕たちは、夕食用のおかずを買って宿へと戻ってきた。
父様とメルは、僕たちより先に戻っていたみたいだけど、何故かメルはヒツジに戻っている上に、自慢の毛並みには花が満開だ。
「ヒツジに戻ったら、いろんな人から貰ったんだよ」
「ボクが可愛いからだねー」
「あれ? でもメル、人の姿で行くって言ってたのに」
「だってー、シャルムがヤダって言うんだもん」
「そうなの?」
「人の姿のメルって、圧がけっこうあるからね……」
「ああ……」
確かに、人の姿のメルは大きい上に黒い。
しかも、本人はヒツジ姿の時と同じ感覚で、父様にべったりくっつくんだよな。
「どうせシャルムさんに、べったりくっついたんだろ」
「いつものことじゃんよー」
「お前、ヒツジと人型では、傍から見た時にだいぶ違うんだぞ」
ヴァニスの言うとおり、ヒツジのメルならマスコット的な感覚で見られるだろうから、可愛いの連れてる、くらいに思われるだろう。
しかし黒く大きい人の姿のメルとなると、その風貌に謎の圧を感じてもおかしくはない……つまりは、悪目立ちした可能性が高いのだ。
「やっぱりボクは、可愛いこの姿がぴったりなんだねー」
そう言いながら、メルはくるくると回り出した。
メルが自分の事を可愛いというのも、上機嫌になって回り出すのもよくある事なので、僕たちにとっては見慣れた光景だ。
今日は毛並みに花をさしてるから、可愛さ三割り増しってところだろうか。
「今日はみんな楽しめたみたいだね。それじゃあ今後の相談をしつつ、夕食にしようか」
そう言って父様は、ハムやベーコンの入ったバケットサンドを包み紙から取り出している。
僕もさっき買ったチキンナゲットとポテト、オニオンリングのセットを出した。
ディディさんは、コーン入りの大盛りサラダと、ピクルスの詰め合わせを用意してくれたみたいだ。
もしうっかり被ったら、揚げ物まみれや野菜まみれなんて事になるから、先に分担を決めておいたのは正解だったと思う。
そしてテーブルに並んだ料理を食べながら、今後の行き先についての話し合いが始まった。
「フォルーリロから先は、北と南の街道に分かれるけど……どちらから行っても、二つ先にあるセラン王国で合流するよ」
「今回は、南のルートの方がいいかもねー」
父様の言葉が終わると同時に、チキンナゲットを頬張っていたメルが提案する。
「北のルートはダメなの?」
「ダメって言うかー、若干遠回りだし、美味しいものもあんまないんだよね」
僕の質問にメルはもぐもぐしながら、北の国に失礼な事を言った。
でも若干でも遠回りになるなら、近道になる南の国を通った方がいいのかな。
「じゃあ今回は、南ルートのオタロタ経由で行こうか」
「オタロタって、どんな国なの?」
「フルーツがめっちゃ美味しいところだよー」
僕の質問に対し、真っ先にメルの食いしん坊な情報が飛んできた。
でも、フルーツが美味しいのは嬉しいな。
ちょうど、果物を使ったお菓子作りにも挑戦したかったところだし。
「暖かい気候で、南国ならではの景色や文化も楽しめるよ」
「リゾートビーチや海の幸の朝市もあるわ。……そういえば、クラーケンを丸焼きにしたのも、あの国の沖の方だったわねえ」
メルに続いて、父様とディディさんが、オタロタについて教えてくれる。
そいてさり気なく、クラーケンを焼いて食べた場所でもあると判明した。
「いいでしょ」
一通り町を見回った僕たちは、夕食用のおかずを買って宿へと戻ってきた。
父様とメルは、僕たちより先に戻っていたみたいだけど、何故かメルはヒツジに戻っている上に、自慢の毛並みには花が満開だ。
「ヒツジに戻ったら、いろんな人から貰ったんだよ」
「ボクが可愛いからだねー」
「あれ? でもメル、人の姿で行くって言ってたのに」
「だってー、シャルムがヤダって言うんだもん」
「そうなの?」
「人の姿のメルって、圧がけっこうあるからね……」
「ああ……」
確かに、人の姿のメルは大きい上に黒い。
しかも、本人はヒツジ姿の時と同じ感覚で、父様にべったりくっつくんだよな。
「どうせシャルムさんに、べったりくっついたんだろ」
「いつものことじゃんよー」
「お前、ヒツジと人型では、傍から見た時にだいぶ違うんだぞ」
ヴァニスの言うとおり、ヒツジのメルならマスコット的な感覚で見られるだろうから、可愛いの連れてる、くらいに思われるだろう。
しかし黒く大きい人の姿のメルとなると、その風貌に謎の圧を感じてもおかしくはない……つまりは、悪目立ちした可能性が高いのだ。
「やっぱりボクは、可愛いこの姿がぴったりなんだねー」
そう言いながら、メルはくるくると回り出した。
メルが自分の事を可愛いというのも、上機嫌になって回り出すのもよくある事なので、僕たちにとっては見慣れた光景だ。
今日は毛並みに花をさしてるから、可愛さ三割り増しってところだろうか。
「今日はみんな楽しめたみたいだね。それじゃあ今後の相談をしつつ、夕食にしようか」
そう言って父様は、ハムやベーコンの入ったバケットサンドを包み紙から取り出している。
僕もさっき買ったチキンナゲットとポテト、オニオンリングのセットを出した。
ディディさんは、コーン入りの大盛りサラダと、ピクルスの詰め合わせを用意してくれたみたいだ。
もしうっかり被ったら、揚げ物まみれや野菜まみれなんて事になるから、先に分担を決めておいたのは正解だったと思う。
そしてテーブルに並んだ料理を食べながら、今後の行き先についての話し合いが始まった。
「フォルーリロから先は、北と南の街道に分かれるけど……どちらから行っても、二つ先にあるセラン王国で合流するよ」
「今回は、南のルートの方がいいかもねー」
父様の言葉が終わると同時に、チキンナゲットを頬張っていたメルが提案する。
「北のルートはダメなの?」
「ダメって言うかー、若干遠回りだし、美味しいものもあんまないんだよね」
僕の質問にメルはもぐもぐしながら、北の国に失礼な事を言った。
でも若干でも遠回りになるなら、近道になる南の国を通った方がいいのかな。
「じゃあ今回は、南ルートのオタロタ経由で行こうか」
「オタロタって、どんな国なの?」
「フルーツがめっちゃ美味しいところだよー」
僕の質問に対し、真っ先にメルの食いしん坊な情報が飛んできた。
でも、フルーツが美味しいのは嬉しいな。
ちょうど、果物を使ったお菓子作りにも挑戦したかったところだし。
「暖かい気候で、南国ならではの景色や文化も楽しめるよ」
「リゾートビーチや海の幸の朝市もあるわ。……そういえば、クラーケンを丸焼きにしたのも、あの国の沖の方だったわねえ」
メルに続いて、父様とディディさんが、オタロタについて教えてくれる。
そいてさり気なく、クラーケンを焼いて食べた場所でもあると判明した。
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