「……グラノ、カナデ君が困っている」
「あ、ああ! すまない、急に」

 グラノ、と呼ばれた緑の短髪に青い目の彼は、地竜王様の番様のようだ。
 この人も背が高く、鍛えられたしっかりとした体格だが……地竜王様はさらに一、二回り大きいな。

「……すまないな、グラノは可愛いものや小さいものが好きなんだ」

 地竜王様はすまなさそうにそう言うが……さらりと小さいもの扱いされて、地味にヘコむんだが。
 確かにミヅキの国の民は、他の国の人と比べると小柄な人が多い。
 俺も旅を始めて間もない頃は、散々子ども扱いされたけどさ……。

「おっし、これで俺が一番小さくなくなった!」

 そう嬉しそうに言っているのは、金髪に赤い目のネコ科の獣人っぽい人……風竜王様の番様だろうか。
 確かにこの中では、俺の次に小さいのはこの人だな。

「そんなに身長の事を、気にしなくてもいいと思うけど」

 そう言う青い髪と緑色の目の彼は、順番的に水竜王様の番様?
 この人は細身でクールビューティーな印象だけど、身長がしっかりあるタイプのようだ。

「じゃあウォルカさんの身長、俺にくれよー」
「フォトー君はまたおかしな事を言って……人に分けれるものではないでしょう」

 フォトーと呼ばれた獣人の番様は頬をプクッと膨らませ、目の前のクッキーを鷲掴みにして食べまくっている。
 その様子を見て、ウォルカと呼ばれた番様はやれやれ、と呆れ半分に紅茶を飲んでいた。
 たしかにこの様子なら、マナーは気にしなくてもよさそうだ。

 水竜王様に席についたら、と促され、火竜王様とペアで着席する。
 そして火竜王様は、ここに来てから何故かずっとドヤ顔だ。
 話題も思いつかないし、なんとなく落ち着かないな、と思っていたら察してくれたのか、ウォルカさんが俺に質問をしてきた。

「カナデ君、歳はいくつ?」
「あ、十七です」
「十七!?」

 声を上げたのは四竜王様と一部の竜人兵たち。
 兵たちは慌てて無かった事のようにしていたが、バッチリ聞こえてたぞ。

「卵から孵ったばかりじゃないか!!」
「……だからこんなに小さいのか」
「イグニ、幼子にはまだ手を出すなよ」

 四竜王様たちには散々な言われようだが、俺はそこまで小さな子どもじゃないからな?
 多分、人間と竜人では時間の間隔が違うんだろうけど……。

「十代か……若いな」
「色々楽しい年ごろですねえ」
「てか伸び盛りじゃん。好きなもん食べなー」

 感覚は同じだろう番様たちからも、やっぱり若い認識なのか。
 フォトーさんは食べなー、といいつつシュークリームとエクレアを次々に頬張り、口の周りがチョコとクリームまみれだ。
 風竜王様はそんな彼が可愛いのだろう、若干呆れつつも超嬉しそうな笑顔でフォト―さんの口を拭いていた。

「カナデはプリンが好きだったろう?」

 そういって火竜王様がプリンを取ってくれたが、それは大きめの皿に乗ったプリンに、果物と生クリームがたっぷり添えられた、豪華なタイプのやつだ。
 それを見た俺は、無意識のうちに目を輝かせていたのだろうか。気が付いたらこの場に居る全員に、温かい目で見守られていた。
 ちょっと恥ずかしくなりつつも、この素晴らしいプリンを口に運ぶ。
 ……うん、美味い。